契約結婚のはずが、極上弁護士に愛妻指名されました
 渚は戸惑いながらと首を傾げた。
"君の計画は穴だらけ"ときついダメ出しをしておきながら、"実現したいなら"などと言う彼の意図がわからなかった。
 渚はなにをどう尋ねればいいかわからないまま、目の前の瀬名の整った綺麗な顔をただ見つめる。わずかに微笑んでいるように見えるその表情からはなにも読み取ることができなかった。
 そんな渚に、瀬名は今度は優しく言い聞かせるように話し始めた。

「君のお父さんと、そんな危険なやり取りができる勇気と能力がある人物は私が知る限り、うちの事務所にはいない。……私を除いては」

 言い終えた瀬名がどこか楽しげに微笑むのを渚は目を見開いて見つめた。

「…………瀬名先生?」

「そう」

 瀬名が力強く頷いて少し身を乗り出した。

「私なら、佐々木先生が相手でもその計画を実現させてあげられる。佐々木先生を騙すのが心苦しくないといえば嘘になるが、バレないようにうまくやれる。それから、後々別れた後もそれほどダメージを受けることもない。佐々木先生と私の間には今まで培った信頼関係があるからね」
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