その一瞬を駆け抜けろ!
スタートからゴールまでわたしの荷物を
運んできてくれていた後輩にお礼を言うと、
彼女は、目をキラキラさせながら
「おつかれさまです!!薫さん!
わたし、間近で見られて、感動しました。
スピード感もすごかったです、圧巻です!!」
と、いまにも飛びついてきそうな勢いで
話しかけてきたので、
わたしは、くすぐったい気持ちになり、
照れながら、「ありがとう!」というと
「わたしも、がんばります!
よくわからないけど、すごくパワーをもらって!」
とここで彼女は、
自分が一人で興奮していたことに気が付くと
「ごめんなさい、わたし、一人で、
こんなに興奮しちゃって、しかも語彙力なくて、
うまく伝えられなくて・・・」
というので
「そんなことないよ、素直にうれしい、
ありがとね!」
と言い、彼女の頭をポンポンと叩くと
頬を真っ赤にして、潤んだ瞳のまま
「あっ!わたしばっかり、薫さんを
独占してちゃダメですね、
みんなさんのところに戻りましょ」
というので
わたしは、
彼女からジャージとアップシューズを受け取り、
身に着けると、履いていたスパイクを彼女に預け、
「ごめん、
これだけ先に持ってってもらえるかな、
わたし、ダウンしてから、戻るね」というと
「はい!かしこまりました!」と
彼女の元気な返事に自然と笑みをこぼれた。