その一瞬を駆け抜けろ!
ダウンを終えて、みんなのところへ戻る途中
「薫ちゃん、お疲れさまー」と
クロセンに声をかけられた。
わたしも足を止め、
「お疲れ様です」というと
「どうだったー?準決、見てたけど、
すごい良かったよ。ベスト出たでしょ?」
と聞かれたので、
「はい、おかげさまで」と、
ふと笑みがこぼしながら答えると、
「薫ちゃんのそんな表情、初めて見たなぁー
どう?なにか掴めた?」と言われる。
「うーん、うまく言えないですけど、
ゴールして、タイムを確認したときは、
『やった!やった!!』って、思い切り
ガッツポーズしたいくらいの気持ちは
芽生えました」
というと、
「そっか・・・
いままでそういうのなかったでしょ?」と言われ
「そうですね・・ベスト出ても、
そっかーくらいで、冷めてました」というと
「明日の決勝では、また違うものに
気づくかもしれないね。じゃあまたあとでねー」
と言いながら、クロセンは、その場を立ち去った。
また違うもの、ってなんだろう…
とちょっと言葉に囚われたものの
薫も歩を進めた。