その一瞬を駆け抜けろ!
一瞬、周りの景色がスローモーションに
なったかのようにスタートした。
ピストルの合図とともに「ワァーっ」と
競技場の底の方から湧き上がる応援。
わたしは、4レーン、真ん中を走る。
スタートと同時にブロックを
思い切り蹴り、覚醒した。
前傾姿勢から顔を上げる、
大丈夫、行ける、わたし。
50メートル超え、周りは見えない
視線は真っ直ぐ、思い切り走るだけ。
あと5メートル。
いける、ここから…
と思ったら、
5レーンのライバルが目入ってしまった。
でも負けない、負けたくない!
肩に力がはいった…マズイ…
わたしは、最後まで無我夢中で足を動かし、
胸を突き出し、飛び込むようにゴールした。