その一瞬を駆け抜けろ!
「んぐっ…はっ…はっ…はっ…はぁ…
はぁはぁ…はぁ…」
膝に手を付き、上体を折り曲げる
なかなか顔をあげられない
少しして結果が表示されたらしく
競技場に「ワァーっ」と歓声があがる。
「はぁ…はぁ…んっ…はぁ…」
わたしは、無理矢理、呼吸を落ち着かせ、
電光掲示板に目をやると、
「あっ……」
自分の名前は、2位を示していた。
1位は5レーンの彼女。
その差0.03秒。
あっ…
あぁ…わたし…
負けたんだ…
ようやく頭で理解できたが
すぐに感情が表に出ることはなかった。
不思議と、なんの感情も湧き上がってこない…
自分の走ったレーンにお辞儀をし、
スタンドで応援してくれた仲間たちに
手を上げてお礼をした。