その一瞬を駆け抜けろ!

すると目に飛び込んできたのは、
右手の拳をつきあげ、歯を食いしばる
沢田さんの姿と

いまにも
泣き出しそうな咲と、仲間たち。

わたしもその表情を見て、改めて自分が
負けたんだ、ということがじわじわと
染み込んできて、

いまにも表情が歪みそうになるのを
必死に堪えながら、

スパイクを脱ぎ、右手に持つと
俯きながら、競技場をあとにした。


負けた…


負けたんだ…


今の自分の姿をわたしは、
誰にも見られたくないと思い、


競技場近くの人気のない木陰を見つけると
座り込んだ。

わたしは、一人になると安心したのか
ぽろぽろと涙をこぼしてしまった。

あんなに頑張ったのに…

みんなといっぱい練習したのに…

なんで負けちゃったかな…と振り返り、
答えのない迷路に迷い込んでしまった。

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