その一瞬を駆け抜けろ!
日が西に傾き始めた頃、
ようやく顔なじみのメンツが集まり、
わたしたちが結婚したことを報告できた。
懐かしい思い出話に花を咲かせていると
公平が「うわぁ、走りたくなってきた!」
と叫び、
「よし、一緒に走る人ーっ!」
と声をかけると、数人が手を上げ、
「ほら、沢田さんもですよ!」と誘われ
純也も手を引っ張られていった。
みんな軽くアップし、スタート位置につく。
100メートル、一本勝負。服装や履いてるものが
みんなバラバラで少し笑える。
スターターは、クロセン。
「On Your Mark」
「Set」
「パーンッ!」
ピストルが鳴り響くグラウンド。
あの頃より、
楽しそうに走ってくる大人たち。
青春の続きを見ているようだった。
ーーーfinーーーー
