ただ、一緒にいたい
「お疲れ様です、彰様」
「別に。全く疲れてねぇよ?」
「さようですか。そういえばたった今、愛月様から連絡がありました。仕事早めに終わったけど、どうすればいいのかと。一応そこでお待ちするように伝えてます。
どうしますか?このままお迎えに行きますか?それとも一度事務所へ?」
「一回事務所で、シャワーを浴びる。こんな汚ないままでは会えない…」
「承知いたしました」



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ガン―――――
「また殺ってしまった…」
シャワーを、浴びながら壁を殴る。
もう、殺らないと誓って現場に行ったはずだった。
でも、愛月のことを言われて、一気に冷めたのだ。

兄貴の言う通りだ。
俺はなぜ、この方法を選んだのだろう。
強くなる方法は他にもあったはずなのに。

恨んでいたのだ。
俺をいじめた奴を。
だから――――――――


頭を冷やし、シャワーを出ると
「あっ、今来られました。少しお待ち下さい」

「彰様。愛月様です」
「もしもし」
『もしもし、彰くん?』
愛しい愛月の声………
『ごめんね…忙しいのに』
「ううん。もうすぐ迎えに行くよ!待ってて!」
『それなんだけど、自分で帰れるよ!そんなに遠くないって言ったでしょ?』
「ダメだよ!迎えに行く!待ってて!急ぐから!」
『そう?じゃあ待ってるね!』

電話を切り、
「岸、行くぞ!急いでくれ!」
「かしこまりました」

また顔つきを切り替え、車に乗った。
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