HONEYBEE(1)~アラフォードクターと一夜から始まる身代わり婚~
コーヒーを飲み終えると俺は陽依さんを院内見学に連れ出した。

「本館は六階建て、一階は外来の診察室と事務室…奥は検査室になっています。二階は…」

俺は本館から彼女を案内。
朝の外来診察の時間帯。ロビーには人が溢れていた。
俺と彼女のツーショットは目立つのか全員が振り返る。
きっと人の目を惹くのは超絶に美しい彼女の顔と容姿だろう。

俺達は人気の少ない検査室を通り、北館にある救命救急科へと向かった。


「あの…どうして?ウチなんかに…紡さんは何も言いませんでした?」

「・・・夫に頼まれたんです…」

「え、あ…紡さんに?」

「・・・私も良く分かりませんけど…前職は社長秘書を務めていたので、秘書の仕事はある程度、理解しています。貴方が院長にする際は、足を引っ張らないように…努力します」

「いえ…あ…」

陽依さんは俺に微笑みかけて来た。
彼女の笑みはとても艶があって色っぽい。
父さんと同じで顔が緩んでしまいそうだ。




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