HONEYBEE(1)~アラフォードクターと一夜から始まる身代わり婚~
三日後…
俺は再び院長室に呼ばれ、父さんに一人の女性を紹介された。

「紹介するお前の秘書となる伊集院陽依(イジュウインヒヨリ)さんだ。隼也」

「えっ!?この方は!?」

伊集院敦司元総理の息子紡(ツムグ)さんの妻。
大手肌着メーカー『スコール』の令嬢。

「よろしくお願いします…高木先生」

「あ…よろしく…」

彼女は愛想よく俺に向かって微笑みかける。
彼女の姿を見たのは挙式披露宴以来だ。

超のつく美人で東大卒の才女。

紡さんとはお似合いの美男美女カップル。

「どうしてまた…ウチなんかに…」

「まぁいいじゃないか…隼也」


父さんの秘書・竹川恒彦(タケガワツネヒコ)さんがクスクス笑いながら、コーヒーを運んできた。
「まぁ、当面は俺の院長秘書として就き、竹川君から色々と秘書の仕事を教わる予定だ」

七十五歳の父さんの顔は美人の陽依さんにゆるゆる。
「いただきます」

俺は竹川さんのコーヒーを飲んだ。彼は竹川事務長のご子息。

「救命は忙しいか?」
「いえ…今の処は別に…」

「じゃ陽依さんに院内を案内してやってくれ」
「え、あ…まぁ、いいですけど…」



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