HONEYBEE(1)～アラフォードクターと一夜から始まる身代わり婚～

「・・・貴方の言いたいコトは分かりました。でも、瑞希が貴方を見ていたのは理由は…貴方が高木先生の若い時に似てるからよ。貴方だって分かってるでしょ？だから、貴方の母親が味わった苦しい想いを貴方が味わうコトになるわよ…それでもいいの？」

「俺には自信がある。一ノ瀬さんから高木先生のコトを忘れさせられる自信が…」

「大した自信ね…まぁ、それだけの容姿にハイスペックな所。今まで、貴方を拒む女性は居なかったと思うわ。でも、今の貴方は無職。それに、高木先生と瑞希は結婚する。
院内では公認の仲だし、往生際悪すぎ。カッコ悪いわよ。モテる男なら、引き際もスマートにいかないと」

「言いたいコト言ってくれるな…仙波さん」

「瑞希貴方も何か言いなさい…」

「・・・ゴメンなさい…私…貴方を見ていたのはその…隼也さんに似てるからで…いつも隼也さんと貴方を重ねてました。久世さん」

ウェイターが私達のオーダーしたウーロン茶を持って来た。

重苦しい雰囲気を汲み、そそくさに一礼して出て行く。

「まぁ、最初は完全な玉の輿狙いだったけど。一ノ瀬さんの病棟の子供たちに対して、懸命に尽くす所が良くて…」

「久世さん…」

久世さんは照れ臭さを隠すようにグラスのワインを煽った。

「完全にフラれてるのは分かってんだけど。仙波さんの言う通り往生際悪いな…でも、母のように傷ついて欲しくなかったんだ…」