あなたと恋に落ちるまで~御曹司は、一途に私に恋をする~
「美山…雫です」


「雫か…いい名前だ」


「えっ、そんな、恥ずかしいです」


「恥ずかしがることはない。君の大事な名前なんだから」


大事な名前…


そんな風に言ってくれるんだ。


ちょっと…嬉しい。


「そうだ、雫に頼みがある」


って、い、い、いきなり呼び捨てですか!?


『雫』だなんて言われて、急に心臓の音が激しく鳴り出した。


私を呼び捨てにする男性なんて誰もいない。


なのに、この人は…


そうだ、きっと誰にでもすぐに名前で呼べるような人なんだ。


女性の扱いに慣れてる、もしかして中身はチャラい人なのかも?


「あ、あの、お願いって?」


呼び捨てのことはひとまず横に置いておこう。


「『杏』のパンを時々会社に配達してもらいたい」


「パンの配達…ですか?」


意外な申し出にちょっと驚いた。


「そういうシステムはない?」
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