あなたと恋に落ちるまで~御曹司は、一途に私に恋をする~
本当に…


あんなことさえなかったら、今頃もう少しまともな恋愛をして、結婚だって…してたかも知れないのに。


『トラウマ』


そんな言葉で私の人生を縛りたくはない…


できることなら、私に取り憑いてしまった重苦しさをさっさと消してしまいたい。


『美味しいよ。毎日、雫が焼くパンを食べたい』


ある意味…プロポーズだと思った。


涙が出るくらい嬉しくて、私は彼に抱きついた。


まさか…


私以外にも付き合ってる女性がいるなんて、微塵も思ってなかったから。


『本当はパンよりご飯の方が好きなんだ』


彼はとても綺麗な女性を連れてきて、私にそう言い放った。


ご飯屋さんで働くその人と結婚したいと思ってるからすぐに別れてくれって…


あまりにも突然で、何が何だかわからなかった。


しばらく体が動かなくて、でも、少しずつ『私は裏切られたんだ』って。


ようやく気づいた時、私の目から、嘘みたいに涙がどんどんこぼれ落ちた。
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