いやな、やつ
「お前を待ってたのは、プレゼント渡して、おめでとうって言いたかったからだ。喜んでくれたなら、まぁ、嬉しい…」
「う、うん」
あぁムズムズする。
倉持の口調が、急に優しい。
ついさっき気色悪いと吐き捨てた口が
おめでとうなんて言って。
やっぱり今日の倉持は少し変だ。
ドキドキとおかしな鳴り方をする心臓を抑えたくて、何か違うことを考えようとすれば
掬いとるように、左手を持ち上げられる。
ブレスレットがきらりと光った。
「春がネックレスなら、俺はブレスレット」
「倉…持」
「絶対外すなよ」
「え…」