いやな、やつ
私の温もりを吸収したブレスレットに
そっと触れる。
手首が皮膚の底から熱くて
どくどくと脈を打っているのが分かる。
意識をすればするほど、意味わかんないくらい胸が甘く高鳴った。
「どーいたしまして
せいぜい大事にするんだな」
偉そうな口調。
なのに、私を見つめる眼差しは明らかに変わっていた。
そしてそんな倉持に対する私の気持ちも
全く違う方向へと変わっていくのを感じた。
「なぁ、世奈(せな)」
倉持が、私の名前を呼んだ。