いやな、やつ
「俺、ちょっと頑張ろうと思う」
「な、何を…?」
「言わねーよ、バーカ」
倉持はなんの皮肉も感じさせない笑顔を浮かべた後に、いたずらっぽい瞳を向けてきて
「俺がどうして今まで、お前にしつこく構ってたのかとか。ブレスレットをプレゼントに選んだのかとか。
……世奈ばっか、可愛いって思ってたとか
そーいうの全部含めて、よく考えて、明後日の俺の誕生日にプレゼントよろしく」
倉持は言うと、くるんと私に背を向けた。
その耳は夕焼けに負けないくらい赤く染っている。
「く、倉持…明後日誕生日なの?」
色々聞きたいのに、口からはそんなくだらない問いしか出てこない。