いやな、やつ




「そ、10月30日。死ぬまで忘れんなよ」


「なにそれ」


私はふっと笑う。

言われなくても、きっと忘れないよ。
鼓動と一緒に体に刻み込まれたもん。




「ねぇ、プレゼントはなにが欲しい?
私、倉持の好みとかわかんないから──」


「お前」


「え?」



倉持が振り返る、切なげな表情をしながら、今度ははっきりと聞こえてきた。




「世奈が欲しい」





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