エリート外科医は最愛妻に独占欲を刻みつける

「……いつ?」
「先週です。ちょうど一週間過ぎてて」

 彼の視線が、私の目から下腹に向かう。

「腰が重くなったり、生理の兆候もないです」

 まだ、喜ぶのは早すぎる。だけどどうしても緩んでしまう口元を止められないまま、私は下腹に手を当てた。

 大哉さんの手が、私の手の上に重ねられる。間近で見る彼の表情は、なんとも言えない期待と喜びの入り混じるもので、私は慌てて付け足した。

「ま、まだわからないですけど。前みたいなこともあるし」

 慌ててそう言ったけれど、私自身期待するのを止められない。大哉さんがスマホを見て、それからおもむろに私を抱き上げ、ゆっくりとソファの上に降ろした。

「……ドラッグストア行ってくる」
「えっ、今から?」
「走ればまだ間に合う」

 彼はそう言うと、いそいそと財布とスマホを手に出かけようとする。

「いってくる」とリビングを出て行ったかと思ったら、玄関ドアとは違うドアの音がしてしばらくするとまた戻ってきた。寝室から毛布を取ってきたらしい。
 それを私の膝の上に広げ、しっかりと足を包み込む。

「えっと……大哉さん?」
「冷やすなよ。エアコンの風に直接当たるな」

 甲斐甲斐しく下半身を温め、エアコンの温度チェックまでしてから私にそう言い残すと、慌てて玄関の方へ向かう。いつもより激しい物音をさせながら、彼は閉店間際のドラッグストアへと走って行った。

 ――数十分後。
 タイミング的には、おそらくハネムーンベビーである。
 愛の実った証を見て、私はまた涙が止まらなくなる。今度は彼もからかったりしないで、抱き合いながら何度もキスを交わした。

 
 
END


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お知らせ
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ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。
ベリーズ文庫7月刊でお世話になります。
この後「番外編:今夜、私はあなたの腕の中:雅目線」が続きます。
※大哉目線の番外編は書籍のみになります<(_ _)>

よければこの先へどうぞ^^

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