エリート外科医は最愛妻に独占欲を刻みつける
身体と一緒に、心の奥まで揺さぶられる。どれだけ泣いても彼は咎めないし、宥めもしない。ただ、決して離してもくれなかった。
かわいい。
泣いていいよ。
ほら、こんなに色っぽい。
俺には、めちゃくちゃかわいく見える。
身体に与えられる快感と一緒に、囁かれる甘い言葉が私の心を慰めて包み込んで、夜に沈んでいく。
混じり合って互いの熱を分け合って、考えることを放棄して、ただただ溺れて喘ぐようになった頃。
不意に彼の動きが緩やかになり、私は陶然としたまま彼を見る。
「手を繋いでいい?」
私に覆いかぶさって、額をこつんとぶつけたままで彼がそんなささやかな願いを言った。揺らされていた体も止まって、私はぱちぱちと瞬きをする。涙がまたひとつ、目尻からころりと流れた。
「……いい?」
もう一度尋ねながら、彼がシーツに押し付けた私の手のひらを、指先で強請るように撫でた。
「……うん。いい、よ」
その瞬間にてのひらが合わさって、指を絡めて握られる。
ふっと浮かんだ優しい笑みが、忘れられないこの夜の中で一番、心に強く残るものになった。