毒舌王子は偽りのお人形の心を甘く溶かす
それから深海コーナーに行ったり、イルカのショーを見たり。
途中でお腹も空いたからカフェに入って映えるご飯とやらも食べた。
食後のデザートのクラゲゼリーがキラキラで食べるのがもったいなくて。
なかなかスプーンを入れられないでいると、前からクラゲが一口分削られ、奪い取られた。
私は頑なに仮面を外さなかったけど、小学生みたいな言い合いも含めて水上くんと過ごす時間すべてが楽しくて愛おしかった。
こんなの覚えてしまったら引き返せなくなってしまうと感じてしまうくらい。
でも、もうそれもそろそろ終わりの時間。
お別れの時間だ。
最後は今までの中で一番大きく、多くの種類の魚がいる水槽。
水槽の真ん前は人でごった返しているから、こうして遠目から眺めている方が楽だ。
小さい魚は群れをなし、大きい生き物は堂々と泳いでいる。
その中間の魚たちはその合間をうろうろと泳いでいて。
多種多様の生き物が住んでいるというのに、弱肉強食なんてまるで存在しないのが不思議だ。
ここは水族館なのだから当たり前と言われてしまえばそれなのだが、それでもやっぱりこの空間は特別なんだと思う。