雲居の神子たち
再び目を閉じて、思い出せる限り記憶をたどってみる。
確か・・・八雲がひかり玉を見つけて駆けだして、須佐が買ってやると2人が店に入って行き、私は店の前で待っていた。
歩いて行く尊の背中を見ていた記憶がある。
その時、何かを嗅がされて・・・やはり、誘拐されたってこと?
何で尊がここにいるんだろう?

「お嬢ちゃん、目が覚めたのか?」
男性が声をかけた。

ゆっくり目を開けると、小屋の中には、50代くらいの男性と女性。
20代の男性が1人。
この人たちが誘拐犯?

「逃げないなら、縄を解く」
年長の男性が言い、私は頷いた。

縄をほどかれると、手首や足首には真っ赤な跡が残っている。

「痛ーい」
思わずさすってしまった私に、
「ごめんなさいね」
女性が近寄り撫でてくれる。

その顔がとても優しくて、なんだか母様みたい。

私の横で、尊の縄もほどかれた。
乱暴をする様子はない。

「お前ら知り合いなのか?」
若い方の男性が聞いてきた。

「え、まあ」
曖昧に応える私。

「だから助けに入ったのか?」
今度は尊に向けた言葉。

「女の子がさらわれそうになっていたら、普通は止めに入るだろうが」
不機嫌そうな尊。

「あんたは、どこの娘なんだ?着ているものは普段着だが、靴も襟巻きもなかなか手に入らない上等な品だ。きっと、良いところの娘なんだろう?」
縄をほどいてくれた年長の男性が私に尋ねた。

「私は・・・」

「父さん、やめなさいよ。そんなこと聞いてどうするの?」
女性が止めようとする。

どうやら、女性と男性が夫婦で、若者はその息子のようだ。

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