江藤くんはループしがち
「うん。だけど今回は1時間くらいだよ。ついさっき数学の授業が始まるところだったから」


「ってことはなに? 休憩時間になにか心残りができたってこと?」


里香は身を乗り出して聞いてくる。


「たぶん、そういうことだと思う」


「で、江藤くんはどこ!?」


言われて教室内を見回してみると、江藤くんは友人たちと一緒に教室を出て行くところだった。


さっさとお昼を食べ終えて、グラウンドへ向かうのだろう。


「これからみんなでサッカーをするんだよ。それで戻ってきて、ループする」


あたしは淡々と説明した。


「そっかサッカーをするんだ。調べるんでしょう?」


里香に聞かれてあたしはうなづいた。


もちろん。


今回も江藤くんのループを止めるのはあたししかいないんだから。

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