江藤くんはループしがち
そしてなにより、彼女は特別に可愛いらしかった。


ぷっくりとした唇はピンク色で、ショートカットの黒髪はツヤツヤ。


黒目が大きく、まつげが長い。


どれをとってもあたしとは正反対だ。


その美少女ぶりにまたたじろいでしまった。


「妹の真央。俺のクラスメートの緑川さんと中谷さん」


江藤君に紹介されて、あたしと里香は慌てて挨拶をした。


美少女に見とれている場合じゃなかった。


「真央は同じ中学の1年生なんだ。あまり学校には行けてないけど」


江藤君が伏し目がちに言った。


こんな可愛い1年生がいればもっと話題になっているはずだ。


あまり登校できていないから、話題に上がったこともないんだろう。


「あんまり、江藤君と似てないね?」


真央ちゃんの髪の毛は漆黒だけど、江藤君の髪の毛は色素が薄くて茶色かかっている。


色白であるところは似ているけれど、それ以外は正反対かもしれない。


「よく言われる」


江藤君はそう答えて肩をすくめた。
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