江藤くんはループしがち
その危険を察知したあたしは「一緒に探そう! きっと、更衣室に落ちていると思うから」と、声をかけた。


「あ、うん。そうだよな。どこかに落としたとしたら、更衣室か」


江藤くんは半分呆然としながら呟く。


幸いにも男子たちはみんな着替えを終えていて、更衣室には誰もいない状態だ。


失礼して中に入ると女子更衣室ほどではないにしろ、消臭スプレーの残り香があった。


「江藤くんはどこで着替えたの?」


「こっち」


そう言って指差したのは更衣室の一番奥のロッカーだった。


中を確認してみるが、生徒手帳は残っていない。


それでも更衣室のどこかにあるはずだと、あたしたち3人は手分けをして探し始めたのだった。


手帳を探し始めて10分ほど経過したとき、スカートのポケットに入れていたスマホが震えた。


確認してみると教室掃除をしているクラスメートからだった。


掃除に参加していないことに気がついて心配のメッセージを送ってきたのだ。


「早く見つけて戻らないと」


そう呟き、しゃがみこんでロッカーの下まで確認する。


床には砂埃が積もっていて汚いけれど、気にしている時間はなかった。


しかし、ロッカーの下は暗くてよく見えない。


スマホの明かりで照らしてみると、見慣れた生徒手帳のカバーが見えた。
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