江藤くんはループしがち
「江藤くん、あったかも!」


そういうと江藤くんはすぐに駆け寄ってきた。


その顔はまだ青白い。


江藤くんにとって生徒手帳がどれだけ大切なものなのか、その表情が物語っていた。


江藤くんは制服が汚れるのもかまわず、地面にはいつくばってロッカーの下を確認した。


引き続きスマホで照らしていると「あれだ!」と、声を上げた。


そして右手をいっぱいに伸ばして生徒手帳を取ろうとする。


しかし、かなり奥まで入り込んでいるようでなかなか取れない。


なにか長い棒でもないかと思っていると、里香が更衣室の掃除道具入れからホウキを持ってきてくれた。


ホウキの柄を使って生徒手帳を器用に引っ張りだす江藤くん。


開いて確認すると、確かに江藤くんのもので間違いないようだ。
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