クールな副社長の秘密~偶然知ったら溺愛されて妻になりました~
 桃華は黙々と片づけをする。

 店内はもちろん、作業場まで片づけが終わった頃には、閉店から一時間近くが経っていた。

 静かな空間に微かにだが車の音が聞こえた。慌てて外に出るとお屋敷の前に樹の車が止まった所だった。

 桃華は庭を走り抜け、樹の車に向かう。

 運転席から降りて来た樹は後部座席のドアを開けながら、桃華が走って来るのに気づき手を振った。

 後部座席から降りて来た社長の右手には、ギプスが巻かれ首からぶら下げられている。

「社長!大丈夫ですか⁉️」

「桃華さん心配かけてすまない。階段を踏み外してしまってな。咄嗟に手をついたら骨折してしまったんだ」

「骨折⁉️」

「そうなんだ……。困ったよ」目尻を下げる社長。

「親父、もう歳なんだから気をつけろよ」

「ああ。すまない」

「生活は困るよなぁ。どうする?」

「あの!」桃華が話を遮る。

「ん?桃華どうした?」

「もし社長さえ嫌じゃなければ、私ギプスが取れるまでこちらでお手伝いします!」

「「ええっ!」」驚く親子。

「桃華さん……」社長は桃華の優しさに涙ぐむ。

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