平成極上契約結婚【元号旦那様シリーズ平成編】
モテるひとみにはそのときに応じて遊ぶ男性が違う。

おいしい食事を楽しむときは『メッシーくん』。車を持っている彼は『アッシーくん』。これほしいなと、言っただけでポンとプレゼントしてくれる『ミツグくん』までいる。

でも今のところ彼らは彼女の『本命くん』にはならないようだ。

私もお皿にシーザーサラダを取り分け食べ始める。

「でさ、さっきの続きだけど、このままでいくと明日香は好きでもない男と結婚する羽目になっちゃうと思うの。そんなの悔いが残らない?」

「う、ううう……うん……」

フォークを置いて口元を歪ませた私は苦い顔になる。

「たしかにひとみの言うことも一理ある。けど、突然三度しか会ったことがない子にアタックされたら絶対に断られるでしょう?」

円城寺さんにアタックして玉砕される自分を想像して、また重いため息が漏れる。

「わからないわよ? 明日香はかわいいんだから。清楚だし、うちの支店でお嫁さんにしたいナンバー1じゃない。数日前なんて、接客中、突然おじいさんがうちの孫の嫁にって、言われてたでしょ」

「あのおじいさん……田中さまね。軽く茶化されていただけよ」

「いつも思うの。私は遊ばれるタイプで、明日香は大事にされるタイプなんじゃないかなって」

容姿や考え方は正反対だけど、ひとみの物怖じしない性格が好きだ。

「そんなのわからないわ。まだ一度も付き合ったことないし」

「いろんな人と付き合わなきゃ、人生もったいないって。なんなら紹介するわよ?」

「えっ? い、いいよ」

私は顔の前で手を振ってから、透明感のあるすみれ色のヴァイオレットフィズを飲む。少し辛口でジンの味が後から口の中に広がる。

いつの間にか店内の席はいっぱいになっていた。
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