【Eater】人喰青年血染喉詩【EP0】
✳︎
ホテルに着いた。ここは一軒一軒が独立していてロビーで顔を合わせなくても会計ができるタイプだ。都合がいい。
入室すると煙草の香りがほのかにした。照明は明るくインテリはゴージャスだ。鏡は大きい。マッサージチェアもある。僕はソファに座り込む。ユイナも座る。
「疲れたね」
「うん」
やっと安心できた気がした。今日は本当に衝撃的な1日だった。それは彼女にとっても同じだろう。ユイナは350缶のビールを開けて飲み込む。いいな、僕も飲みたい。
「これからどうしよか」
「うん、どうしようか、逃げ続けるのかな、化け物からも警察からも、ユイナはいいの?」
「ルイくんと別れるくらいなら、死んだ方がまし、って思う、それってちょっとメンヘラっぽいかなあ?でも結構本気で思ったりなんかしてるよ、約束して欲しい、何処にも行かないで、ずっと一緒だって」
「うん、そうだね、でも大切だからこそ危険な目に合わせたくないし、傷つけたくない、何が正解何だろう」
「別れたい?」
「いや、それは絶対嫌だ。矛盾してるよね、でもずっと一緒にいたいと思っているよ、それは本当に、お互い特殊な生い立ちなんだ、どんな事があっても二人なら絶対幸せになりたいと願ってるよ、何があっても、きっと、きっとうまくいく、そう信じるしか無いよね、普通でいいんだ、普通の幸せになる、いや、する」
「うん、大丈夫だよ!きっと大丈夫、私が守り切るから、もう誰も失いたくない」
「僕はあの日ユイナの告白を聞いてこの子は絶対僕が守り切るんだって誓ったんだ、傷が治ったら僕が守る、いや傷だらけになっても、もし灰になっても守らないといけないと思ってるよ」
「ありがとう、でも無理はしないでね」
「うん」
「でも怪物の目的は何なのだろ?何でルイくんを狙ってるのだろう」
「それなんだけど、なんか僕美味いらしいよ」
「え、本当?食べてみようかな」
「まあ、いいけど」
「警察の目的は何だろう?」
「疑ってんでしょ、ルイくんの事、適当な推理して、国家の犬が何が怪物狩りだよ!滅ぶべきは人間の方じゃない人間なんていくら食べられても構わない!稲田のやつをぶっ殺してくれれば最高何だけど」
「ユイナ口悪いな飲み過ぎじゃ無い?でもそこは確かに警察は、国は間違っていると思うよ。政治家の息子だからって大した捜査もしないでのうのうと普通の生活を送っている、そんなのは間違っている、人を殺したら死刑になるべきだと思うよ」
「死刑どころか逮捕すらされてない。あいつのせいであいつのせいで私は全部を失った。可愛かった弟も優しかった母も、頼もしかった父も、帰ったら物音一つなかった血の海だった、滅多刺しだって必要以上に何度も酷過ぎる。今でも思うよ殺したいって間違ってるかな?私は怪物?」
「そんな事ない、ユイナは間違ってないよ。その怒りは忘れちゃいけないモノだと思う、この世には平和ボケして綺麗事を言う偽善者がいるけどあいつらは地獄を知らないんだ、同じ目にあったらきっと平然ではいられない、でも、だからこそユイナには幸せになって欲しいし何があってもユイナは僕が守り切るから」
「ありがとう、あの頃一人ぼっちだった私を救ってくれたのがルイくんだった。やっと出会えた大切の人、世界はまた私から奪おうとする、もうそれは許せない」
「うん、大丈夫、僕はどこにも行かないよ」
ユイナは涙とアルコールで目が真っ赤だ。
< 18 / 20 >

この作品をシェア

pagetop