熱い熱がたまる
11
✴︎
翌週。
カレシさんのシフトの日じゃないけど、舞香はまゆ子に頼んで、野球のチケットをもらった。カレシさんの分は、いつもの人に渡して欲しいってお願いしてもらった。
✴︎
席に座って、広い球場を眺める。
風が吹いている。
その風に身を任せていたら、貴文が隣の席にどかっと座った。
とたんに、右隣が彼を意識した。
「秋山がオレに行けって」
「私が頼みました」
「引き返せないけど、覚悟は出来てんの? 」
「出来てます」
「ケジメはつけたの? 」
「? 」
(自分の気持ちのこと? そんなのとっくに⋯⋯ )
「とっくに決まってる! もう、何日も前から、」
って泣いたら、がっと抱きしめられた。
半分ぐらい黙って観戦した。
途中の相手チームのターンで、貴文が立ち上がり、舞香も彼について立ち上がる。
貴文の目には、荒い気持ちが見えた。
✴︎
外野席で野球を見てたから、焼き鳥の匂いや、汗の匂いがしてるのに、その匂いは荒々しい熱にしかならない、かえって気持ちが溢れる。
「欲だけなの? 」
「は?何言ってんの?
欲だけ? 」
と、貴文は舞香に近づきながら言った。
帰れと1人で帰ったホテルの部屋に、今日はダブルベットが一台の部屋で。
「そんなわけあるか。
オレのものになる覚悟は出来てんのか? 」
「うん
北川さんも?
私のものになるって覚悟あるの?」
「あたりまえだ」
それから貴文は、舞香を腕に抱いて言った。
「止められない、熱くてお前を求めてて、ずっと苦しかった。
どうにもならない、舞香だけだ。
頭がおかしくなりそうだ」
そっとブラウスが脱がされて、床に落ちた。
「修羅場にはオレがついていく」
修羅場? 何か大変なこと、あったっけ、私の親? と思ったけれど、それ以上、頭が動かなくなった。
✴︎
お前!!!
えっ?
真っ直ぐに貫いて、舞香の驚いて見開いた目、貴文は舞香がはじめてなのが分かったのだ。
貴文は、溜まりに溜まった熱がマグマのように激流となって、熱い欲のまま舞香を自分の物にしたと思ったのに、それ以上に驚いて、こんなに驚いて、嬉しかったことはなかった。
「なんで、おまえ、まさか、初めて⋯⋯ 」
「貴文さんだけですよ⋯⋯ えっ? 、当たり前⋯⋯ じゃないですか? ⋯⋯ 」
そのあとの一瞬一瞬が刻まれていく、
頭に、心に、体に。
初めてでこれからも唯一の貴文の形が、舞香に永遠に刻まれた。
貴文がちょっと泣いてる。
「北川さんも⋯⋯ 痛いの?」
「あほか、嬉しいんだ」
と、涙ぐまれた。
✴︎
「お前、秋山とヤッたことないの?」
「?」
「高校から付き合ってんだろ?」
「まゆ子がね。私はしませんよ? 変なこと言わないでください⋯⋯ 」
「⋯⋯まゆ子ってだれ? 」
「何言ってんですか!
秋山さんのカノジョの正岡まゆ子ですよ? 」
「! 」
「まーちゃん?」
「カレシさんにそうよばれてるみたいですね」
「だってお前、舞香だろ」
「そうですよ? 」
✴︎
貴文は、ずっと秋山のカノジョ、『まーちゃん』が、前田舞香だと思っていたらしい。
えっ⁇?
と舞香はすごく驚いて、次に、だからって思って、その次にじゃあ、と思った。
「そうだよ! 」
と貴文が言った。
「紛らわしい名前しやがって! 」
ともう一度、抱かれた。
「前田舞香に正岡まゆ子って、ま、だらけじゃねーか」
と言って、さらにもう一度。
熱く深く、彼の傷ついていた心と、嫉妬と。
溜まり溜まった熱い熱と
愛と
もう、熱く熱く、とどまることがない気持ちが、熱く溶けたら、またさらに熱が溜まって熱くなって、
キリなんてない
おたがいに
✴︎
翌週。
カレシさんのシフトの日じゃないけど、舞香はまゆ子に頼んで、野球のチケットをもらった。カレシさんの分は、いつもの人に渡して欲しいってお願いしてもらった。
✴︎
席に座って、広い球場を眺める。
風が吹いている。
その風に身を任せていたら、貴文が隣の席にどかっと座った。
とたんに、右隣が彼を意識した。
「秋山がオレに行けって」
「私が頼みました」
「引き返せないけど、覚悟は出来てんの? 」
「出来てます」
「ケジメはつけたの? 」
「? 」
(自分の気持ちのこと? そんなのとっくに⋯⋯ )
「とっくに決まってる! もう、何日も前から、」
って泣いたら、がっと抱きしめられた。
半分ぐらい黙って観戦した。
途中の相手チームのターンで、貴文が立ち上がり、舞香も彼について立ち上がる。
貴文の目には、荒い気持ちが見えた。
✴︎
外野席で野球を見てたから、焼き鳥の匂いや、汗の匂いがしてるのに、その匂いは荒々しい熱にしかならない、かえって気持ちが溢れる。
「欲だけなの? 」
「は?何言ってんの?
欲だけ? 」
と、貴文は舞香に近づきながら言った。
帰れと1人で帰ったホテルの部屋に、今日はダブルベットが一台の部屋で。
「そんなわけあるか。
オレのものになる覚悟は出来てんのか? 」
「うん
北川さんも?
私のものになるって覚悟あるの?」
「あたりまえだ」
それから貴文は、舞香を腕に抱いて言った。
「止められない、熱くてお前を求めてて、ずっと苦しかった。
どうにもならない、舞香だけだ。
頭がおかしくなりそうだ」
そっとブラウスが脱がされて、床に落ちた。
「修羅場にはオレがついていく」
修羅場? 何か大変なこと、あったっけ、私の親? と思ったけれど、それ以上、頭が動かなくなった。
✴︎
お前!!!
えっ?
真っ直ぐに貫いて、舞香の驚いて見開いた目、貴文は舞香がはじめてなのが分かったのだ。
貴文は、溜まりに溜まった熱がマグマのように激流となって、熱い欲のまま舞香を自分の物にしたと思ったのに、それ以上に驚いて、こんなに驚いて、嬉しかったことはなかった。
「なんで、おまえ、まさか、初めて⋯⋯ 」
「貴文さんだけですよ⋯⋯ えっ? 、当たり前⋯⋯ じゃないですか? ⋯⋯ 」
そのあとの一瞬一瞬が刻まれていく、
頭に、心に、体に。
初めてでこれからも唯一の貴文の形が、舞香に永遠に刻まれた。
貴文がちょっと泣いてる。
「北川さんも⋯⋯ 痛いの?」
「あほか、嬉しいんだ」
と、涙ぐまれた。
✴︎
「お前、秋山とヤッたことないの?」
「?」
「高校から付き合ってんだろ?」
「まゆ子がね。私はしませんよ? 変なこと言わないでください⋯⋯ 」
「⋯⋯まゆ子ってだれ? 」
「何言ってんですか!
秋山さんのカノジョの正岡まゆ子ですよ? 」
「! 」
「まーちゃん?」
「カレシさんにそうよばれてるみたいですね」
「だってお前、舞香だろ」
「そうですよ? 」
✴︎
貴文は、ずっと秋山のカノジョ、『まーちゃん』が、前田舞香だと思っていたらしい。
えっ⁇?
と舞香はすごく驚いて、次に、だからって思って、その次にじゃあ、と思った。
「そうだよ! 」
と貴文が言った。
「紛らわしい名前しやがって! 」
ともう一度、抱かれた。
「前田舞香に正岡まゆ子って、ま、だらけじゃねーか」
と言って、さらにもう一度。
熱く深く、彼の傷ついていた心と、嫉妬と。
溜まり溜まった熱い熱と
愛と
もう、熱く熱く、とどまることがない気持ちが、熱く溶けたら、またさらに熱が溜まって熱くなって、
キリなんてない
おたがいに