藍先輩の危険な溺愛レッスン。
権田さんも、私なんかを追いかける虚しさに気が付いたのかも。


うん、きっとそう。


よかった、これで毎朝の憂いがなくなる。


「愛菜ちゃん」


「あ」


目の前にスッと伸びてきた大きな手。


先輩は私のことを真っすぐに見据えて何か言いたそうにしている。


「……」


「先輩」


思わず胸がくすぐったくなる。


あ、どうしよ。ここは学校なのに。


もしかしたらまたギュッーとかチューとかされちゃうのかなって思って胸が高鳴った。


顔が熱くなって俯きそうになる。


「弁当を」


「え?あ、はい」


慌てて鞄の中からお弁当をとりだした。


なんだそっか、お弁当を渡してほしくて手を伸ばしてきただけだったんだ。


私ったら何を勘違いしてるんだろう。恥ずかしい。


「ありがと、じゃあね」


「はい、今日もありがとうございました」お礼を言って軽く頭を下げた。


「うん」
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