藍先輩の危険な溺愛レッスン。
甘い甘い空気に包まれていてさっきから息を吸うのも苦しい。


先輩は私を窒息死させる気なんだろうか。


でもでも両思いってこういうことなのかな。


経験がないからどんな顔をしたらいいのかもわからないよ。


「あ、あの。待ってください。もうちょっとゆっくり……」


「なんのこと?」


「私、恥ずかしくて……そんな言われてもどうしたらいいか」


オロオロしながら彼の顔を見上げる。


すると彼は少し身をかがめて顔を寄せてきた。


「どうもしなくていい。ただそばにいてくれたらいいんだ」


「ひやっ」


耳元で優しく囁かれて小さく悲鳴を上げた。


それにピョンって軽く飛び上がってしまった。


先輩ってば。


だから、だからそういうのが。


免疫のない私は、もうもうキャパオーバー寸前。


両手で顔を隠した。


湯気がシューッて出そうなくらい顔が熱い。


「どうしたの?」


「い、いえ」


「愛菜ちゃんはやっぱり可愛い」

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