藍先輩の危険な溺愛レッスン。
彼が口元を抑えて肩を震わせていることにようやく気が付いた。


こらえきれないみたいで小さく笑い声が漏れてる。


「う……」


くぅっー、笑われてる。


ちょっとだけ冷静さを取り戻して反撃に出た。


「からかってますね?」


「からかってはないけど、全部本心だけど愛菜ちゃんの反応が……ツボに来た」


「もうっ」


拗ねたふりをして彼の腕をギュッとつねってやった。


だけど目が合うと、たまらずクスクスと笑いあった。


「もっかいキスしたい」


先輩がポツリとそう言ったので焦って周りをきょろきょろ見まわす。


幸い誰にも聞かれていなかったみたい。


「さっきしたから……」


小さい声で返事をした。


「いいじゃん、何回しても」


「今日はもうしません」


「じゃあ明日になったら、またしていいってこと?」


ああ言えばこう言うし……。先輩には到底口で叶いそうにない。


「……っ」


そんなとりとめのない会話を交わしながら坂道を上がって行った。


少しでも長く一緒にいられるようにゆっくりと歩きながら。
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