藍先輩の危険な溺愛レッスン。
どうしょう、これじゃあすぐに見つかっちゃう。


案の定、少し離れた斜め後ろから声がした。


「隠れてないで、でておいで。今日はもう追いかけっこは終わりだよ」


きっと向こうからはこっちが見えている。


私は両手を胸の前で握りしめながら、肩を震わせていた。


全身で彼がそばに来ることを拒絶しながら。


彼はそんな私を気遣って近づいてこないみたいだった。


だけどその場からは動かないで話しかけてきた。


「大丈夫?」


優しい声がした。


「……」


「雪乃に何か言われた?」


「大丈夫だから放っておいてください」


「そんな泣き声で言われても、放っておけるわけないだろ」


きっと彼にしたら訳が分からないだろうな。


凄く心配そうにしているのが伝わってくる。


それなのに私は……。
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