藍先輩の危険な溺愛レッスン。

信じて飛び込んで



「愛菜ちゃん」


体育館から飛び出してきた私を藍先輩が後ろから追いかけてくる。


急いでどこかに隠れたかった。


先輩、追いかけてこないで。


やだ、もう先輩になんて言えばいいかわからないよ。


雪乃さんと話してたら、わけがわからない感情に押し流されて泣き出してしまった。


こんな顔見られたくない。


きっとぐちゃぐちゃだもん。


隠れるところを探しながらやみくもに廊下を走った。


このまま真っ直ぐに走って曲がると中庭がある。


とりあえずそこに逃げ込もう。


中庭には数名の生徒達がいたけどこちらへは見向きもしない。


隅っこにある太くて大きな木の影にしゃがんで隠れた。


背の高い雑草もあるからなんとか私の小柄な身体なら身をひそめられる。


「愛菜ちゃん」


先輩は中庭に足を踏み入れるとあちこち探しはじめる。
< 241 / 332 >

この作品をシェア

pagetop