運命が変えた一夜 ~年上シェフの甘い溺愛~
決して広くはないレストラン。こだわりのお客との距離の近い店内。
それなのに、綾乃との近そうで遠い距離がもどかしかった。

「やっと抱きしめられる」
もう一度綾乃の耳元でささやく悟。

胸の中で小さく震えながら涙を流す綾乃に愛おしさがあふれ出す。

こんなにギリギリな状態で・・・一体どれだけ自分に鞭打ちながらこの子は頑張ってきたんだと想像するだけで、誰よりも何よりも甘やかしたくなる。

本当は強引にでも抱きしめてしまいたかった瞬間はたくさんあった。
でもできなかったのは、自分が抱きしめることで綾乃が困ってしまうのではないかと不安だったからだ。
相手の気持ちも考えずに突っ走れる年齢でもない。

現に今までたくさんの女性を自分の想いと突っ走りで傷つけたり、幻滅させてきてしまった。
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