運命が変えた一夜 ~年上シェフの甘い溺愛~
陽だまりのような悟の胸の中で綾乃は幼い子供のように泣いた。
それまで我慢していたものが一瞬にしてあふれて止まらなくなる。

耳元で「やっと抱きしめられる」とささやかれたとき、綾乃は自分も同じ感情を抱いていたと気づいた。

おんぶしてもらった時も、そのぬくもりに包まれたいと思っていた。

一日中、悟の香りのするダウンジャケットに身を包みながら、悟のぬくもりを求めている自分に気が付いていた。

夢のようなぬくもりに包まれて、綾乃は目を閉じる。

”大丈夫”悟の言葉を思いだす。

怖いけど・・・前に進むことも、心を開くことも怖いけれど・・・
この人となら大丈夫。
< 104 / 349 >

この作品をシェア

pagetop