運命が変えた一夜 ~年上シェフの甘い溺愛~
「綾乃」
すぐに綾乃の隣に並んで歩きながら悟は綾乃の顔を見る。

少し血色の戻った顔に安心しながら、そっと髪を撫でた。

意識が戻っている綾乃は悟を見てから、困ったように微笑む。

「大丈夫か?」
その言葉に、綾乃は何も言わないまま困ったようにもう一度微笑んだ。

綾乃の反応に少し違和感を感じながら、悟は「よかった」と微笑み返し、個室でストレッチャーからベッドにうつる綾乃を支えて手伝う。

「じゃあ、点滴が終わったらナースコール鳴らしてください。あとは帰宅できますので。」
看護師の言葉にも悟は違和感を感じて質問する。
「薬の処方はなしですか?」
その言葉に看護師は戸惑ったように綾乃を見る。
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