運命が変えた一夜 ~年上シェフの甘い溺愛~
「患者さんにはすでにお伝えしていますので。」
そう言って看護師は足早に病室を後にしてしまった。

「大丈夫?」
2人きりになった病室で悟はベッドに腰かけて、横になっている綾乃の顔を覗き込む。
「平気?」
「・・・」
何も返事をしない綾乃。
「どうした?」
その理由が分からず、悟は綾乃を見つめる。

「何か、あった?診断結果が悪かった?それとも」
「・・・」
悟が話を聞こうと問いかけると、綾乃は急に泣き出した。

「どうした?」
よほど悪いことを言われたのだろうかと焦りながら、悟は綾乃の手を握りしめ、流れ出す涙を拭う。
それでも綾乃は次々に涙を流す。
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