御手洗くんと恋のおはなし
Ep2. バスケ少年の恋
 秋風爽やかなとある十月。
 桜塚高校の体育館内では、気温を上昇させようとする熱い少年が一人、爆走していた。
 天井に届くほどに──は言い過ぎだが、他の男子生徒から頭一つ抜きんでている彼は、大谷圭介。老け顔長身の、満の友人だ。
 彼はドリブルをしながら、ハーフコートの中を駆けていく。

「ふははは、どけどけーい! ダンクかますぞ!」
「げげ、お前が言うとマジ洒落なんねって」

 止めかけたクラスメイトのディフェンスをかいくぐり、大谷はバスケットボールを掴んで大きく跳ぶ。

「うりゃあああ!」

 大きく足を広げた跳躍で彼は空を飛び、ゴールにボールを叩きつける! ──その前に。

 ピピー、と笛が鳴り「トラベリング!」と審判が言い渡された。

「あだぁ!」

 外れたボールはゴール板から跳ね返り、大谷の頭てっぺんをバウンドした。
 ジャージ姿の満は笛から口を離し、しゃがみ込み頭を抱える大谷に近づく。

「お前、五歩も歩いてたぞ」
「うるへー! 勢い止まんねーんだよ!」

 サッカー部の大谷はゴールキーパーをしており、運動神経も良くボール使いもうまい。しかしサッカーバカなためバスケットには疎く、ルールを理解する頭までは持ち合わせていなかった。
 今は、体育の時間の合同授業。
 もうすぐ秋の球技大会が控えており、バスケ参加となった満は体育館で過ごしている。

< 23 / 109 >

この作品をシェア

pagetop