罰恋リフレイン

簡単にメイクを直してトイレから急いで出た。彼女たちの会話が頭から離れない。

私は蒼くんの彼女じゃなかったんだ……。あ、でも高校の時と同じで周りにはそう言っているだけかもしれないよね。そう、大丈夫!

気持ちを切り替えて体育館に戻ろうとしたとき「日野さん?」と声をかけられた。
声のした方に顔を向けた私は目を見開いた。そこには氷室さんと数人の高校の同級生が立っている。

「あ……氷室さん……?」

「何でここに居るの?」

「あの……」

「まだ夏城くんに付きまとってるの?」

私を睨みつける氷室さんに言い返す言葉が出てこない。キーホルダーを取られて以来話すことが怖くてずっと避けていた。卒業したら会うことはないと思っていたのに。

「いい加減ストーカーはやめなよ。夏城くんが本気で日野さんを好きになることはないんだから」

「そんなこと……」

氷室さんには関係ないと言いたいのに、氷室さんのすぐそばに立つ同級生までもが私に呆れた視線を向けて委縮してしまう。

「どうせ日野さんは罰ゲームの相手にしかなれない存在なんだから」

「どういう意味?」

「今も気づいてないの? 夏城くんは罰ゲームで日野さんに告白したの」

「え……」

「それを日野さんが本気にするから夏城くんは正直に言えなくなっちゃたんだって」

「待って……それは……」

修学旅行の夜に告白してくれたあの気持ちは嘘だったの?

「その話を聞いて私ら大爆笑! 蒼くんはずっと日野さんに付きまとわれて困ってるって誰にも相談できなかったって言ってた」

「うそ……」

視界が歪んで鼻の奥がツンと痛む。氷室さんたちの前では泣きたくないのに涙を止められない。

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