罰恋リフレイン

公式ショップに連れて行かれて蒼くんが私を楽しませようとしてくれたことは嬉しかったけれど顔が強張った。
ブスで気持ち悪い私はここに居る資格がない。作品たちに失礼だ。

蒼くんのスマートフォンで氷室さんからの着信画面を見た瞬間思い知った。今日のデートは私への嫌がらせなんだって。
今度こそ許せない。私をバカにするのもいい加減にしてほしい。

自分が嫌な人間になろうとも、私は蒼くんのことが好きだって嘘をつく。今度は私が蒼くんと同じことをするために騙されたふりをする。
私の放つ「好き」という言葉にわざとらしく照れる演技にも付き合ってあげる。いくらでも好きなふりをして見せる。

気になるのは翔くんはどこまで知っているのかということ。
蒼くんと翔くんは中学から一緒で仲が良かった。部活は違ったけど大体一緒に行動していた。

香菜に近況報告を兼ねて電話をしてみた。
新婚夫婦の時間を邪魔するのは悪いと思ったけれど、結婚式以来香菜と話していないから声が聞きたかった。

「夏城くんのことごめんね!」

香菜は式に蒼くんを呼んだことを何度も詫びた。

「もういいって。翔くんのゲストなんだし」

「私は何度も嫌だって言ったんだけど……他の友達を呼んで夏城くんだけ呼ばないってことができなくて……」

罰ゲームのことを話したから香菜も未だに蒼くんに怒っている。
香菜まで傷つけることになって申し訳ない。だけどあの時の私は傷つきすぎて香菜に話を聞いてもらうことでしか発散できなかった。

「翔くんは今でも蒼くんと連絡取り合ってるんだね」

「そうみたい。時々飲みに行ったりしてるよ。その度に私は文句言うけど」

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