罰恋リフレイン

「俺らが口出してごめんね」

翔くんがまた謝るから「こっちこそ……」と私は顔を上げた。

「こんなことに二人を巻き込んでごめんなさい。ちゃんと蒼くんと話してみるから」

そう言うと二人は安心した顔を見せる。
私たちの問題なのに二人に気を遣わせてしまって申し訳ない。

「じゃあご飯にしようか。お鍋の準備はできてるよ。あとは並べるだけ」

明るい声を出した香菜が立ち上がると「手伝うね」と私も立ち上がった。










香菜と翔くんの家を出て電車に乗ると蒼くんから来ていたメッセージ全てに目を通す。
受信したまま読んでいなかったLINEはどれも必死さが伝わってくる文面で、私のためにどれだけ心を砕いてくれたのかを知るには十分だった。
私だってたくさん傷つけたのについ数時間前にももう一度話したいと言ってくれていた。

『何度も連絡くれてありがとう。私も話したいです』

そう送るとすぐに既読になった。

『明日会いたい。迎えに行く。薫の都合のいい場所でいい』

間を置かずに返ってくるメッセージに不思議と安心する。意地を張っていた自分がおかしいと思えるほど。

全部気持ちをさらけ出して、もう一度スタートしたい。蒼くんも同じ気持ちでい続けてくれたら、これからはもっと素直になれるかもしれない。



◇◇◇◇◇



「さっきから時間気にしてるけど帰ってもいいよ?」

冬木さんの言葉に壁掛け時計を睨みつけたままの顔を向けてしまい慌てて作り笑顔を見せる。

「いえ、まだ残ります」

「定時は過ぎてるからいいよ。予定あるんだろ? 残業させるほどのことでもないよ」

「でも……」

私のデスクには取引先の農家の一覧がある。新作スイーツのアイディアが浮かばずに果物から先に決めようとしても何も進まない。

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