罰恋リフレイン

「私から聞いた薫の様子を夏城くんに伝えてたって気づいた。薫を傷つけたくせにずっと薫のことを気にかけてるんだって」

「えっと……そうなの?」

翔くんの顔を見るとゆっくり頷いた。

「蒼は日野さんを傷つけたことをずっと後悔してて、もう一度やり直したいのに会えないって自分を押さえてる感じだった。ボロボロだったよ、日野さんに振られたあとのあいつは。好きでもないのに色んな女と付き合ってみたりね。氷室もそんな感じだったんだと思う」

「私は夏城くんが落ち込むのは自業自得だって思ったんだけど、それだけ本気で薫のことを好きなんだってことなのかなと思う」

香菜までも蒼くんのフォローに回った。

この数年間、私のことを想ってくれていたのかもしれない。でもすんなり受け入れられないのは私が頑固だからだけじゃない。

「私は、向き合いたかったんだよ……」

蒼くんに正直に言ってほしかった。ケンカしてもいいから本心を伝えたかった。ちゃんと最初から怒りたかった。あの修学旅行の時にちゃんと。
人から聞かされたあの時のショックをどう消化したらいいのか分からない。

「そのまま夏城くんに伝えるべきだよ」

香菜は私の顔を覗き込む。

「今夏城くんを避けてるでしょ? でももう一度話し合って。嫌いだ、とか、やり直そうってもう一度言うの。薫の気持ちをちゃんと」

「話したくない……」

「薫は夏城くんのこと今でも好きなんじゃないの?」

香菜の顔を見返した。

「何年も引きずって、傷ついたままで、それだけずっと薫の心に夏城くんが居座ってる」

「…………」

「このまま距離をおいたら薫はきっと後悔する」

唇が震えてきた。言葉を発したいのに喉につかえる。

自分でもわかっている。蒼くんとちゃんと話したい。話さないと一生後悔する。

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