エリート外科医の灼熱求婚~独占本能で愛しい彼女を新妻に射止めたい~
『もしもし、百合ちゃん? 坂下です。急にごめんね。実は今日の昼過ぎに透が倒れて、代わりに俺が連絡しました。時間が空いたら連絡ください。俺の携帯の電話番号は──』
数時間前の坂下先生は電話番号を告げて、通話を切っていた。
留守番電話の再生が終わったあと、私は携帯電話を握りしめたまま呆然とその場に立ち尽くしてしまった。
「こ、近衛先生が倒れた? な、なんで……」
ダメだ。狼狽えている場合じゃない。
私はどうにか気持ちを奮い立たせると、たった今聞いたばかりの番号を入力し、坂下先生に電話をした。
『──はい、坂下です』
「さ、坂下先生ですか⁉ 私です! 野原百合です!」
スリーコール目で電話に出た坂下先生の声を聞いた瞬間、私は叫んでいた。
「近衛先生が倒れたってどういうことですか⁉ 近衛先生は、無事なんですか⁉ 今も病院にいるんですか⁉」
まくし立てると、電話の向こうで坂下先生が『百合ちゃん、とりあえず大丈夫だから落ち着いて』と、私をなだめた。
「だ、大丈夫って、どういうことなんですか⁉」
だけど、落ち着いてなんていられない。
だって、近衛先生が倒れたなんて聞かされて、冷静でいられるはずがなかった。