エリート外科医の灼熱求婚~独占本能で愛しい彼女を新妻に射止めたい~
……やっぱり、ちょっと気になるな。
横を通り過ぎたときに見たおじいさんの手首には、病院に入院中の患者さんがつけている白いタグベルトのようなものが見えた。
私の見間違いかもしれない。でも……。
横断歩道で信号が変わるのを待っている間も、私はおじいさんのことが気になって仕方がなかった。
なんとなく、このまま見てみぬふりをしてはいけない気がした。
……ああ、ダメだ。
結局、私は踵を返すと、早足で通ってきたばかりの道を戻った。
「おじいさん、大丈夫ですか?」
そして、努めて冷静に、おじいさんに声をかけた。
おじいさんは私の声に反応すると、ビクリと肩をゆらして顔を上げた。
やっぱり……腕には入院中の患者さんがつける、白いタグがついている。
私はそれを確認してから、再びおじいさんに笑顔を向けた。