エリート外科医の灼熱求婚~独占本能で愛しい彼女を新妻に射止めたい~
「……お嬢さんは、どこから来たのかね?」
「私、道路を挟んで向かいにある野原食堂の娘なんです。今は、ちょうど休憩中で」
「野原食堂の? ……おお、そうかぁ。お嬢さんは、野原食堂さんとこの娘さんなのか」
「はい。もしかして、お店に来てくださったことがありますか?」
「ああ、ある。懐かしいなぁ。わしは、野原の親父さんが作る麻婆豆腐が好きでな。奥さんのヒサちゃんも、元気か? 若い頃は、野原食堂さんに本当に世話になったんだ」
私が自分に馴染みのある野原食堂の娘だとわかると、おじいさんは警戒心が一気に解けたようで饒舌になった。
そろそろ、大丈夫かな?
それから五分ほど話し込んだところで、私はゆっくりと腰を上げた。
「おじいちゃん、私、ちょっと食堂に電話しなきゃいけなくって。少しだけ待っててもらってもいいですか?」
「おお、おお。大丈夫じゃよ。電話しておいで」
よしっ!
そのまま私は、おじいさんに会話が聞こえないくらいの距離を取った。
ええーと、中央総合病院の電話番号は、確か携帯電話の電話帳に入れていたはず……。
「あれ……?」
だけど、いざ電話をかけようと思ったら、エプロンのポケットに入れたはずの携帯電話が見つからなかった。
もちろん、ジーパンのポケットにも入っていない。
マズイ……もしかして私、携帯電話をお店に忘れてきた?
そうだ。そういえば出るときにお店のカウンターの上に置いて、そのまま……。