エリート外科医の灼熱求婚~独占本能で愛しい彼女を新妻に射止めたい~
「たしかに、それはそうかもしれないけど。でも、きみがしたことが間違っているわけじゃない」
「え……」
穏やかで、とても優しい声で紡がれた言葉に、思わず胸がトクンと鳴る。
「それに、きみは今、自分はお兄さんの真似をしただけだと言ったけど、お兄さんのときは、お兄さんが自分の家族のためにやったことだろう?」
「それは……たしかに、そうですけど」
「だけど、きみは今日、家族のためではなく、赤の他人のために行動した。それはきっと、誰にでもできることじゃない。だから俺は、きみがしたことは当時のお兄さんがしたこと以上に立派で、素晴らしいことだと思うよ」
そこまで言った近衛先生はまぶしそうに目を細めて笑うと、形の良い唇で弧を描いた。
私はまさかこんなふうに褒めてもらえるとは思ってもみなくて、返す言葉に迷ってしまった。
「それと……先程の会話を聞いてしまったあとで尋ねるのは申し訳ないのだけれど。きみが野原食堂の娘さんということは、もしかして昨夜、俺のところに出前を届けてくれたのも、きみなのか?」
「あ……」
近衛先生は、田所さんと私の会話を聞いていて、私が野原食堂の娘だと気がついたのだ。