エリート外科医の灼熱求婚~独占本能で愛しい彼女を新妻に射止めたい~
「こ、近衛先生……」
途端に、心拍数が上がりだす。
白衣姿の近衛先生はドアのそばに立つ私のすぐ後ろで、手をドア枠につき、私を見て小さく笑った。
「えー、なになに。透とこの子、知り合いなの?」
「坂下に、話すことは何もない」
「なーんだよ。ほんと、透ってつれないねぇ。でも、そう言われると余計に気になるんですけど」
爽やか先生改め、坂下先生はそう言うと私を見て目を細めた。
「今日はちゃんと、代金払うから。ちょっと待ってて」
「あ……」
対して近衛先生は、そう言うと私の頭にぽんと手をのせ、医局の中に入っていく。
ただ、手が髪に触れただけなのに。私の心臓はまた爆発しそうなほど高鳴りだして、頬が勝手に紅潮した。
「……マジで? ほんと、きみって透とどういう関係?」
「え?」
「だって、透が女の子に頭ぽんって……。いつものあいつなら、絶対に有り得ないし! っていうか、透が患者さん以外の女の子に笑いかけてるの、初めて見たかも!」
坂下先生は大げさなほど狼狽えて、本当に驚いたって顔をしている。
反対に私は茫然としながら、たった今、坂下先生に言われた言葉を鵜呑みにしていいのか迷ってしまった。