エリート外科医の灼熱求婚~独占本能で愛しい彼女を新妻に射止めたい~
「なんだよ、野原先輩。急に仕事辞めて会社からいなくなったと思ったら、出前のアルバイトでもしてんの?」
「な、なんで遠野くんがこんなところに……」
「はぁ? 今、質問してんの俺なんだけど。そういうダルいところ、会社にいたときから変わんないっすねぇ」
呆れたように息をつき、緩やかに口端を上げた遠野くんの笑顔を見たら背中を嫌な汗が伝った。
「まぁいいや。野原先輩には、特別に教えてあげるよ。実は今さ、俺の大切な親戚がここに入院してて、俺は貴重な休日の合間を縫って見舞いに来たってわけ」
「大切な親戚……?」
「ほーら、野原先輩も覚えてるっしょ? 俺が将来継ぐ予定の会社を経営してる、例の伯父さんだよ。俺を館林物産にコネ入社させてくれた、俺の大切な親戚」
顎を上げ、自信満々に告げた遠野くんは偉そうに腕を組んで私のことを見下ろしていた。
館林物産……とは、私が約二ヶ月前まで勤めていた会社のことだ。
私が大学を卒業後、約四年間お世話になった会社でもある。
「でも、まさかこんなところで野原先輩と会えるなんて奇遇だなぁ。あ、もしかして、こういうのを運命って言ったりするんすかね?」
そう言うと遠野くんは、糸のように目を細めて私の足先から頭のてっぺんまでを舐めるように見た。
身体を這うようなねっとりとした視線に背筋が凍る。
同時に、段々と自分の息が上がっていくのがわかって、私は胸の前で震える手を握りしめた。