エリート外科医の灼熱求婚~独占本能で愛しい彼女を新妻に射止めたい~
 

「わ、悪い冗談はやめて」

「ハハッ、そりゃ今のは冗談ですけどー。悪いとか、言い方ひっどいなぁ。俺、普通に傷つくよ?」

「あなたが傷つく? そんなはずないでしょ?」

「まぁ、ねぇ。あ、野原先輩。先輩がまだ次の仕事が決まってないなら、俺が紹介してあげよっか?」

「はい……?」

「そーんなダサダサの格好で出前のアルバイトするよりも、元後輩のよしみで、もう少しマシな仕事を紹介してあげてもいいってことっすよ。ほら、なんてったって俺、将来は社長だし?」


 一歩詰め寄られ、私は慌てて後ろに足を引いた。

 だけどすぐに背中に冷たい壁がぶつかって、私は逃げ道を失くしてしまった。


「あ、あなたに頼るなんて死んでも嫌!」


 それでも私は恐怖と怒りに震える心を、必死に奮い立たせて反論した。


「はぁ? 何言ってんの? 俺を誰だかわかって生意気な口きいてんのかよ」

「……わかってる。でも、私はもう館林物産の社員じゃないし、あなたに怯える理由はないから」


 ハッキリと言い返した。言い返してやった。

 そこまで言うと私は、足早に遠野くんの横を通り抜けてその場を立ち去ろうとした。


「痛……っ」


 だけど、既のところで二の腕を掴まれ足が止まる。

 弾かれたように振り向くと、苛立ちを表情に浮かべて私を睨む遠野くんと目があった。

 
< 58 / 142 >

この作品をシェア

pagetop